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                                               2007年3月20日

19年度改正 適格・課税繰延となる合併等の対価に
合併親法人株式等を追加


  共同事業要件に係る「事業性」「事業関連性」の判定基準は省令で   

  先ごろ国会に提出された19年度の税制改正法案では、組織再編税制について、会社法で実現される合併等対価の柔軟化への対応として、適格合併、適格分割、適格株式交換の要件(法法2)、及び被合併法人等の株主について旧株の譲渡損益を繰り延べる要件(法法61の2、措法37の10)に係る「合併等の対価」に、新たに「合併親法人株式等」を加える改正が盛り込まれている。
 これにより、会社法で大幅に緩和された「合併等の対価」のうち、合併法人等の100%親法人株式を対価とする合併、すなわち、「三角合併」についても、組織再編税制の枠組みの中で、資産の簿価移転、株主に対する株式譲渡損益の課税繰延べが可能となる。
 一方、今回の改正では、適格組織再編のうち、「共同事業を営むための組織再編」について、その要件である「事業性」及び「事業関連性」の法令による明確化も予定されており、注目されているが、こちらは、省令改正での対応となる見込みとなっている。


適格組織再編に係る合併等の対価に「合併親法人株式等」を追加・交付金合併等は適格組織再編の対象外

 旧商法においては、合併等に際して、被合併法人等の株主に対して旧株に代わり交付できるのは、原則として、合併法人等の株式のみであったが、会社法では、これを大幅に緩和する実質改正が行われている。 
 いわゆる「合併等対価の柔軟化」であるが、例えば、吸収合併の場合、吸収合併存続株式会社が吸収合併消滅株式会社の株主に対して、その株式に代えて、「金銭等」を交付することができると規定しており(会社法749@)、具体的には、吸収合併存続株式会社の株式以外のものとして、吸収合併存続株式会社の社債、新株予約権、新株予約権付社債、さらには株式等以外の財産も対価とすることができることとされている(吸収分割や株式交換にも同様の規定が置かれている:会社法758、768)。
 周知のとおり、会社法の規定のうち、この「合併対価の柔軟化」については、敵対的買収の増加等が予想されたため、企業に買収防衛策を採用する機会を保障するため、施行が1年先送りされた経緯があるが、本年5月1日の施行以後は、会社法上は、合併法人の親法人の株式を対価とする、いわゆる「三角合併」のほか、現金を対価とする「交付金合併(キャッシュ・アウト・マネージャー)」等も可能となる。 
 しかしながら、このうち、税法上、適格合併として課税繰延べが認められるのは、一定の要件を満たした「三角合併」のみということになる。
 この点、適格合併、適格分割、適格株式交換に係る「合併親法人株式等」の規定は、合併等後の継続保有要件等が課されるため、政令に委任されているが、適格組織再編で活用できる親法人株式等とは、被合併法人等の発行済株式等全部を保有する親法人、すなわち100%親法人の株式等に限られることになる(法法2十二の八、十二の十一、十二の十六)。

合併等後に一体的に事業が行われていれば合併等前に

 ところで、三角合併の解禁で、外資による敵対的買収が増加するのではないかといった懸念はともかく、合併等に際して親法人株式を活用する場面は国内の組織再編においても想定しうるところであり、それだけに、今回の改正で予定されている、共同事業要件に係る「事業性」及び「事業関連性」の判定基準の法令による明確化も気になるところだ。
 ここでいう、「事業関連性」とは、持株割合が50%以下の法人間で組織再編を行う場合の共同事業要件に定められているもので、現行制度においては、例えば、適格合併については「合併に係る被合併法人の被合併事業(当該被合併法人の当該合併前に営む主要な事業のうちのいずれかの事業)とが相互に関連するものであること」と規定されている(現行法令4の2B一)。
 しかし、現行の制度では、その関連性をどのように判断するかまでは必ずしも明らかとはなっておらず、予てから法令での明確化の必要性がいわれていたところだ。
 一方、「事業性」とは、そもそも事業関連性を有するかどうか判断するに足りる「事業」を営んでいるかどうかを問うもので、例えば、適格組織再編の当事者として、実質的に事業を行っていないペーパーカンパニー等が、どこまで含まれるのかという問題につながり、適格組織再編において親法人株式等の活用が可能となった場合においては、重要なポイントになることから注目されている点だ。
 この点、具体的な判定基準は、政令ではなく、財務省令で定められることになるものとみられるが、事業関連性については、基本的には、「被合併法人等の行っていた事業が、合併等後においても、一体的に行われていれば、合併等前においても事業関連性を有していた」と判断されることになるようだ。



(以上参考;週刊「税務通信」第2957号)
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