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                                               2007年3月30日

特殊支配同族会社と業務主宰役員

 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度は(法法35条)、一定の条件に該当する会社に対して、業務主宰役員に支給される給与のうち、給与所得控除額分が損金不算入になるもの。
 この制度は、実質的に個人事業主と変わらなく、オーナー経営者の支配力が強い企業に対して、”法人成り”のメリットとされる給与所得控除額を規制する趣旨で創設されている。
 このため業務主宰役員というのは、オーナー経営者、つまり会社の経営に最も中心的に関わっている役員であり、通常、会社の中心的な人物は一番役職の上にいる者であることから、代表取締役や社長という肩書を持つ人物になるとされている。
 ところで、一般的に代表取締役には、一番高額な給与が支給される。しかし、特殊支配同族会社の中には不動産賃貸などの副業や、年金の受給の影響などの理由で代表取締役の給与を抑えていて、別の役員に対する給与が多い場合もある。
 このような場合において、給与が一番多い者を業務主宰役員にしなければならないのでは、という不安もあるようだが、あくまで給与の額は判断材料の一つで、事業計画の策定、多額の融資契約の実行、人事権の行使等に際しての意思決定の状況など総合的に判断して、業務主宰役員が誰になるのか判断すればよいようだ。
 なお、業務主宰役員とされる人物は複数の会社を所有していることがあるが、その場合には、給与を合算して各社の損金不算入額を計算するという有利な方法を利用することができる(法令72条の2A)。たそえば、2社の給与が1,000万円ずつ(計2,000万円)の場合、各社ごとで計算した場合、1社の損金不算入額は220万円だが、合算した場合の1社の損金不算入額は135万円となる。


(以上参考;週刊「税務通信」第2958号)
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