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2007年4月2日
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分配可能額の算定
会社法上、分配可能額を超えて株主に剰余金を配当した場合、取締役等は弁済責任を負わなければならない(法462)。監査役等は、適法かつ適正な配当が行われるかをチェックする必要がある。
分配可能額は、旧商法における「配当可能利益」と比べ、実質的変更はないといわれるものの、算定手続は大きく異なる。
(社)日本監査役協会が2月19日に公表した「会社法における会計監査の実務対応」(以下、実務対応)によると、次の表のようになる。
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旧商法の配当可能利益 |
会社法の分配可能額 |
算定方法 |
純資産からの控除方式 |
剰余金への加減方式 |
確定時点 |
決算日に確定→期末時点から変動なし |
効力発生日に確定→期末後分配時までの
変動を反映 |
期間損益の
反映 |
なし |
臨時計算書類の損益を反映 |
分配可能額は、最終事業年度の末日(期末日)における剰余金の額に必要な加減算を行って算定する。実務対応では、その算定方法を「分配可能額の算定チェック表」として、次のようにまとめている(組織再編行為等は考慮していない)。
1.剰余金:期末日の剰余金の額(=その他資本剰余金+その他利益剰余金)に
2.自己株式:自己株式の帳簿価額等を控除
3.臨時決算:臨時決算書類を作成した場合(任意)には、その期間の損益を加減算し、その期間内に 行われた自己株式の処分対価は加算する。
4.剰余金の変動:期末日後の剰余金の変動を加減
5.のれん等調査額:のれん等調査額が資本等金額を超える額の控除
6.連結規制:連結配当規制適用会社を選択
7.評価差額金:その他有価証券評価差額金および土地再評価差額金のマイナス額を控除
8.300万円:資本+準備金等が300万円に満たない額を控除
<分配可能額の算定チェック表>
項 目 |
構 成 内 容 |
千円 |
参照条文 |
1.剰余金 |
期末日の剰余金の額=(その他資本剰余金XXX千円+その他
利益剰余金XXX千円)= |
+ |
法461A一、
446一、計177 |
2.自己株式 |
@期末日に保有している自己株式の帳簿価額XXX千円
A期末日後に取得した自己株式の帳簿価額XXX千円
B期末日後に処分・消去した自己株式については、最終的に相殺 されて影響なし |
△△ |
法461A三
法461A三
法446二、五、461A一、三、四 |
3.臨時決算 |
@臨時決算期間の当期純損益額→益はプラス、損はマイナス XXX千円=
A臨時決算期間内に処分した自己株式の対価額XXX千円= |
± |
法461Aニイ、A五、計184、185
法461Aニロ |
4.剰余金の変動 |
@期末日後に資本金・準備金を減少して剰余金とした場合XXX千 円
A剰余金を減少して資本金・準備金とした場合XXX千円
B剰余金の配当をした場合(配当額XXX千円+準備金計上額 XXX千円) |
+
△
△ |
法446三、四、法461A一
計178一、二、法461A一
法446六、445C、計規46、46 |
5.のれん等調整額 |
A:のれん等調整額(のれん÷2=XXX千円+繰延資産XXX千円 )=XXX千円
B:資本等金額(資本金XXX千円+準備金XXX千円)=XXX千円
C:その他資本剰余金XXX千円
@A≦B→控除額=0
AA≦(B+C)→控除額=(AXXX千円−BXXX千円)=
BA>(B+C)∧のれん÷2≦(B+C)→控除額=(AXXX千円−BXXX千円)=
CA>(B+C)∧のれん÷2>(B+C)→控除額=(CXXX千円+繰延資産XXX千円)= |
△
△
△ |
法461A六、
計186一イ
法461A六、
計186一イ
法461A六、
計186一イ
法461A六、
計186一ロ
法461A六、
計186一ハ(1)
計461A六、
計186一ハ(2) |
6.連結規制 |
連結配当規制適用会社を選択適用した場合
(A連結剰余金の額XXX千円<B単体剰余金の額XXX千円マイナスC子会社から取得した自己株式XXX千円)の場合:
B−C−A=
B 単体剰余金の額=株主資本の額XXX千円マイナスその他有価証 券評価差額金(注1)XXX千円−土地再評価差額金(注1)XXX千 円−のれん等調整額(注2)XXX千円=
C 子会社から取得した自己株式の額=最終事業年度末日後に子会 社から親会社自身の株式を取得した場合の子会社における簿記
XXX千円X子会社に対する持株比率○○%=
A 連結剰余金の額=株主資本の額XXX千円−その他有価証券 評価差額金(注1)XXX千円−土地再評価差額金(注1)XXX 千円−のれん等調整額(注3)千円= |
△ |
計186四 |
7.評価差額金 |
期末日の(その他有価証券差額損XXX千円+土地再評価差額損XXX千円千円)= |
△ |
計186ニ、三 |
8.300万円 |
(資本等金額+新株予約権の額+評価・換算差額等(プラスのみ))の合計額が300万円に不足する額 |
△ |
計186六 |
分配可能額 |
法461A |
(注1) マイナス部分のみ
(注2) のれん等調整額が資本金、資本剰余金、利益剰余金の合計額を超えているときは、資本金、 資本剰余金、利益準備金の合計額
(注3) のれん等調整額が資本金、資本剰余金の合計を超えているときは、資本金、資本剰余金の 合計額
(以上参考;週刊「経営財務」第2810号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)
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