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                                               2007年4月6日

相続税額の取得費加算特例に修正申告の延滞税免除規定


  遺産分割協議成立の長期化など相続税申告後の課税価格変動に配慮   

  平成19年度の措置法改正により、相続した財産を譲渡した場合の譲渡所得の特例について、修正申告をする場合に一定の延滞税を免除する規定が設けられる。
 最近では遺産分割協議が成立するまでに長い時間のかかるケースが少なくないが、相続税納税のために土地を譲渡している場合、その後の分割協議成立により、相続人間の相続税額が変動すれば、取得費加算特例を受けている場合には所得税額も増減することになる。こうしたケースについて、相続税が増える場合に延滞税が一部免除される場合があるのに対して、所得税が増える修正申告については手当てがされていなかった。
 これに対応するため、取得費加算特例について、所得税の修正申告書を提出する場合、納付すべき所得税額に係る延滞税については、その適用を受けた所得税の法定納期限の翌日からその提出等の日までの期間は延滞税の計算期間に算入しないとする措置が設けられることになる。

相続税申告後に課税価格変動するケースが増加

 相続人の権利意識の高まりや最近の地価の再上昇など要因はさまざまだが、遺産分割協議が成立するまでに時間のかかるケースが増える傾向にあるという。そのため、相続税の申告後に各人の課税価格が変動するケースも生じてくることになる。相続人数の変動や遺留分についての争いなどが原因となることも考えられるところだ。
 相続税額が変動する場合、相続財産を譲渡し、相続財産に係る譲渡所得の課税の特例を受けている場合には所得税についても税額が変動することになるが、このたびの措置法改正で、相続税額が減少して取得費加算特例の取得費が減少、その結果、所得税が増える場合の規定が整備されることになった。
 相続税が少なくなる場合には、所得税の修正申告書を提出する必要があるとされることになったわけで、この場合に一定の延滞税が免除されることになる。逆に、相続税額が増加して所得税が減る者は、所得税の減額更正の対象になるということになる。


修正申告を義務づけ延滞税を免除

 租税特別措置法39条《相続財産に係る譲渡所得の課税の特例》の適用を受けた者が、更正の請求の特則(相続税法32条)に基づいて相続税の減額更正を請求して相続税額が減少した場合には、所得税の修正申告書の提出等をすることになる(4項・新設)。
 修正申告で納付すべき所得税の額に係る延滞税の計算について、その適用を受けた所得税の法廷納期限の翌日からその提出等の日までの期間は延滞税の計算の基礎となる期間に算入しないとする取扱いが設けられ、平成19年4月1日以後に修正申告書の提出等をする場合について適用するとされている。
 所得税の特例を適用して申告を行い、すでに確定している所得税額が後発的な事由によって変動することが想定されるものについては、修正申告書の提出義務や修正申告によって納付額が生じる延滞税の計算等についての規定が置かれている。今回の見直しは、相続税額の取得費加算特例についても、居住用財産の買換え特例など、他の所得税の特例措置と同様に修正申告書の提出義務、延滞税の計算について、制度上必要な手当てをする趣旨のものとみられる。


(以上参考;週刊「税務通信」第2960号)
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