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                                               2007年5月15日

省令改正で共同事業要件に係る事業関連性の判定基準を明確化


  事後の事業活動から事前の事業関連性を推定する規定も   

 平成19年度税制改正では、共同事業による組織再編について、「事業関連性」の判定基準の明確化が行われることになっていたが、その内容が4月13日に公布された財務省令で明らかとなった(平成19年4月13日財務省令第33号)。
 省令では、合併等の直前において、それぞれの法人が事務所を所有している等、3つの要件を全て満たし(事業性要件)、かつ、各法人の事業の関連性について、相互の事業が同種のものであること等、3つの要件のいずれかを満たしていることを判定の基準としている(事業関連性要件)。
 注目したいのは、事前要件である、この「事業関連性」の有無について、事後的に確認可能とする「推定規定」が置かれた点だ。

  再編手法の多様化で明確化が望まれていた事業関連性の判定基準  

昨年度の税制改正で、法人税法本法に取り込まれた「株式交換」や、本年5月から解禁される「三角合併」は、買収等、企業グループ外での組織再編の手法として利用されることが想定されるが、そうした場合に、適格組織再編として課税繰延べの適用を受けるためには、共同事業要件を充足する必要がある。
 そのため、従前から、共同事業要件に係る事業関連性要件の判断基準について、明確化を望む声があり、平成19年度の税制改正に盛り込まれることとなったのは、既にお伝えしたとおりだ。
 今般、明らかになった判定基準では、まず、事業関連性の判定に足りるだけの事業を営んでいるかどうか、すなわち、「事業性」に係る基準が設けられており、合併法人等と被合併法人等が合併等の直前にといて、以下の3るの要件のすべてを満たしている必要があるとしている(法令3@一)。

@ 事務所、店舗、工場をの他の固定施設を所有し、又は賃借していること
A 従業者があること
B 自己の名義をもって、かつ、自己の計算において、商品販売等、契約の申込みや勧誘、行政機関の許認可等についての権利等の保有、知的財産の請求・申請等、のうちいずれかの行為をしていること

 また、「事業関連性」については、合併等の直税における合併事業と被合併事業の関係として、以下のいずれかの関係があることを求めている(法令3@ニ)
@ 被合併事業等と合併事業等とが同種のものであること
A 被合併事業等に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源と、合併事業等に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源とが同一又は類似するものであること
B 被合併事業等と合併事業等とが合併等後に被合併事業等に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源と合併事業等に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源とを活用して営まれることが見込まれていること


  実務的には事前の事業関連性について事後的に確認可能な「推定規定」が重要に

さらに、この「事業関連性」の判定においては、被合併法人等の被合併事業等と合併法人等の合併事業等とが「合併等後」に、被合併事業等に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源と合併事業等に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源とを活用して一体として営まれている場合には、事前に相互に事業関連性を有していたものと「推定する」という、事後的に事前の事業関連性を確認可能な規定も置かれており、実務的には、この「推定規定」が、より重要であると考えられる(法令3A)。
 なお、これらの規定は、既に公布日である平成19年4月13日より施行されている。

(以上参考;週刊「税務通信」第2965号)
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