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                                               2007年5月17日

投資事業組合の連結


  実務対応報告書第20号の適用で財務諸表はこう変わった  9月中間期では全ての投資事業組合を連結する企業も 

 ライブドア事件を契機として問題化した投資事業組合の連結上の取扱い。昨年9月に企業会計準備委員会(ASBJ)から「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第20号)が公表されたことにより、投資事業組合に関する子会社と関連会社の判定に関するルールが明確化された。この実務対応報告の中では、投資事業有限責任組合、民法上の任意組合、商法上の匿名組合といった形で組成されている投資事業組合について、業務執行の権限というものに着目して、これによって支配力の有無を判断していくこととしている。
 その公表を受けて、投資事業組合を管理運営あるいは出資している企業では、9月中間期から実務対応報告を適用し、取扱いに示された判定ルールに従って会計処理を行っている。中間期での事例を見る限りでは、投資事業組合の大部分を連結の範囲に含めた企業も多い。例えば、フューチャーベンチャーキャピタルでは、「監査法人と協議した結果、28ある全ての投資事業組合を新規に連結の範囲に含めた」としている。また、ジャフコでは47ファンドを連結の範囲に含める一方で、9ファンドについては、「傘下に入れる目的でなく、営業取引として投資育成目的で所有している」としていわゆるベンチャーキャピタル条項を適用して、議決権の100分の50超を有していても子会社としていない。

  外部出資者の持分も連結  

  ところで、ASBJにおける審議の際に指摘されたのが、ファンドを連結すると企業実態が見えにくくなるとの指摘。外務出資者の持分を含む投資事業組合全体の資産・負債・収益・費用を連結財務諸表に計上することになるためだ。例えば、出資割合が10%程度であるが、業務執行権限を有することから支配していると判定された投資事業組合を連結するケースで見てみる。



  個別財務諸表上、純額方式を行っていたと仮定し、今回の会計処理の違いを比較してみる。

《従来》
  出資金         1/営業外収益    1
 ⇒個別でこの処理を行い、連結に取り込んでいた。

《実務対応報告適用後》
 
営業投資有価証券 500 /借入 390
  少数株主持分  90
  出資金  10
売上原価        90 /売上 100
少数株主損益      9 /少数株主持分   9

⇒フル連結を行うことで営業投資有価証券が500増加し、さらに少数株主持分が計上される。資産・負債とも大幅に増加している。

(以上参考;週刊「経営財務」第2817号)
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