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                                               2007年5月23日

法令69条「特別の事情」により、親子間の出向役員給与の改定も


  今後は子会社の総会等における実務対応も必要に   

 19年改正では見直された役員給与制度について、法人税法施行令69条第1項第1号イの後段では、定期同額給与の通常の改定となる、会計期間開始後3月までの改定について「継続して毎年所定の時期にされるものに限る」とし、さらに3月経過後の改定であっても、特別の事情が認められる場合には、3月経過までに改定が行われたものとして、通常の改定と同様に取り扱うという措置が規定されている。
 これは、自社の都合だけでは、役員給与の改定を行えない第三セクターの会社等が対象となるが、親会社の給与改定の影響を受ける出向関係等も想定された改正であり、出向役員給与の実務に影響を与えるものとなっている。

  通常の改定に「特別の事情」追加に  

  19年改正では、役員給与制度の見直しが行われ、法人税法施行令69条の改正が行われている。
 この69条の1項1号イでは、定期同額給与の改定で、事業年度開始後3月経過日とされる通常の改定について、3月経過後に改定が行われる場合であっても、これに特別の事情があると認められる場合には、改定が認められる内容となっている。

法人税法施行令69条1項1号
当該事業年度開始の日の属する会計期間(法第13条第1項(事業年度の意義)に規定する会計期間をいう。以下この条において同じ。)開始の日から3月を経過する日(保険会社(保険業法第2条第2項(定義)に規定する保険会社をいう。事項第1号及び代7項において同じ。)にあっては、当該会計期間開始の日から4月を経過する日。イにおいて「3月経過日等」という。)まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る。)が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあっては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定


 
 第三セクターの会社が該当

 この「特別の事情」には、自社の都合に拠らない役員給与の改定が該当し、例えば、第三セクターの会社があてはまる。
 第三セクターの会社とは、第一セクターの国や地方公共団体と、第二セクターの民間企業が共同出資して設立された事業体で、赤字鉄道の存続を図るため等に用いられていることで知られる。第三セクターの会社は、国や地方公共団体と民間企業が出資を行っていることから、それらの団体や企業の予算等によって、役員給与等が決定される。

  
親子会社間の出向役員も対象に

 また、この「特別の事情」には、親子会社間の出向関係もあてはまるようだ。親子会社間においては、親会社の給与水準が決定しなければ子会社の役員給与水準が決定されない場合があり、その場合に、親会社から子会社へ出向している役員の給与の改定に、この「特別の事情」があてはまることとなる。
 例えば、親会社における出向者の選定や給与水準の決定が、子会社の事業年度が開始してから3月経過後である場合などは、この「特別の事情」にあてはまる。これは、親会社における出向にかかる給与等の改定が決定されるからだ。 よってそのような場合には「特別の事情」に該当し、給与改定が認められることとなるため、この「特別の事情」は出向にかかる企業慣行を見据えた改正となっている。
 ただし、「特別の事情」が認められる役員給与の改定は、「継続して毎年所定の時期にされるものに限る」と規定されている。よって親会社における出向にかかる給与等の改定が決定された後に、子会社の体制が整うということが、毎年継続して行われるということが前提となっているため、事業年度の関係から株主総会等の時期が、親会社とは異なる子会社にあっては、株主総会、社員総会又はこれらに準ずるものの決議で、事前の取り決めや決定を行っておくことが求められる。



(以上参考;週刊「税務通信」第2966号)
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