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                                               2007年5月31日
 


資本剰余金からの配当の税務上の取扱いに注意

 減資部分も「配当所得」とし誤って源泉徴収を行ってしまった事例も

 平成18年度税制改正では、剰余金の配当を行った場合、配当の原資によって税務上の取扱いが異なることとされた。
 これまで、利益剰余金や資本剰余金からの配当は、全て受取配当等とされてきたところだが、改正後は、利益剰余金からの配当は「受取配当金」とされ、資本剰余金からの配当についてはプロラタ計算により算出した一部の金額のみ「みなし配当」とし、その他の金額については「資本の払い戻し」と取扱われている。
 利益剰余金からの配当を行った企業のなかには、改正後の取扱いの適用を失念し、配当の金額を「みなし配当」として、所得税の源泉徴収を行ってしまった事例が少なからずみられたようだ。改正項目のなかでも、誤りやすい規定の一つであるといえることから、あらかじめ留意したい。

 資本剰余金からの配当は一定部分のみ「配当」に

 これまで、その他資本剰余金の処分による配当を行った場合、「法人が受ける利益の配当が資本準備金の取崩しにより生じたその資本剰余金を原資として行われたものであっても、受取配当等の益金不参入の規定の適用があることに留意する」と法其通で規定されてきたことから、利益剰余金からの配当と同様に全て「配当」として取扱われてきた。つまり、配当の原資が、資本剰余金からの配当か、利益剰余金からの配当であるかに区分する必要はなかったのだ。
 しかし、会社法で株主に対する利益の配当や資本の払戻し等について、剰余金の配当に一本化されたことに伴い、平成18年度税制改正では、原資の区分に応じて、「配当」と「資本の払戻し」に区分することとされた。
 具体的には、利益剰余金の配当は従来どおり「受取配当」とされる一方、資本剰余金からの配当については、プロラタ計算により「資本の払い戻し部分」と「配当部分」とに区分される。
 つまり、この改正の施行日である平成18年5月1日以後の日を支払いの基準日とする剰余金の配当は、その原資が資本剰余金か利益剰余金であるかを確認する必要がある。

 源泉徴収の取扱いを誤った事例も


この法人税法の改正により、当然のことながら所得税の源泉徴収の範囲も従来とは異なるので注意が必要だ。
 これまでは、配当の原資が資本剰余金か利益剰余金かに関係なく、全ては源泉徴収の対象とされてきたところだが、改正後は、利益剰余金からの配当であれば従前どおり全額が源泉徴収の対象となるものの、資本剰余金からの配当については、プロラタ計算により受取配当と算出された金額のみが源泉徴収の対象となる。
 資本剰余金を原資とした配当を行った企業のなかには、改正後の取扱いの適用を失念し、「資本の払戻し部分」についても「受取配当」として源泉徴収をしてしまったケースも少なからずみられたようだ。平成18年度法人税法の大改正のなかでも、誤りやすい項目の一つであるといえることから、くれぐれも注意したい。


(以上参考;週刊「税務通信」第2967号)
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